スペシャルティコーヒーとは

標 高

山岳地帯のコーヒー栽培では、コーヒー豆が育つ場所の標高が高いほど、品質が高くなる傾向があると言われています。その主な理由として、「日中と夜間の寒暖差」が上げられます。通常、コーヒーの木は、昼間に日光を浴び、光合成を行い、エネルギーを蓄えます。その蓄えたエネルギーは、コーヒーの木の生育活動に消費されます。

昼間
夜間

ただし、高地のように夜間、気温が下がる場所では、コーヒーの木が大切なそのエネルギーを消費せず、蓄えようとします。気温が低いことにより

  1. 1低地と比べ、呼吸や生育活動を抑えるために、基礎代謝が下がる。
  2. 2種子である、コーヒー生豆に養分を蓄えようとする。
  3. 3耐寒性を高めるため、糖質を多く蓄える。
  4. 4低い気温により、コーヒー生豆は固く引き締まる。

など、良質なコーヒー栽培にとって重要な要素となります。

高地

なぜ標高が高いと気温が低くなるのか。

高度が100m上がるにつれ、気温は0.6℃下がると言われています。

  1. 標高が高いと圧力が低くなり、空気が膨張して温度が下がる。

ただし、コーヒーの生育条件は、日中18℃~25℃、夜間の気温が下がっても5℃程度までとも考えられています。あまりに標高が高すぎる、気温が低すぎる場合は、霜がおりてしまうなど、コーヒーの木の生育に支障をきたすため、高ければ高いほど、良いわけではありません。

◎標高が高すぎる場合:
気温が低くなりすぎる/紫外線による葉焼け/水の確保
◎気温が低すぎる場合:
霜がおりる/生育が遅くなる

品 種

コーヒーはアカネ科コフィア属に属する熱帯植物。現在世界中の人々に愛されるコーヒーは、その嗜好や市場の変化に伴い、品種は様々なバリエーションに富んだ進化を遂げています。トレーサビリティが特徴の一つであるスペシャルティコーヒー。品種の違いを感じることも楽しみ方のひとつではないでしょうか。

アラビカ種とカネフォラ種(ロブスタ)

コーヒー市場において、広く知られているコーヒー品種の大区分。一般的に、味わいが良いとされているアラビカ種、栽培が容易で価格が低いとされるカネフォラ種。基本、アラビカ種とカネフォラ種との交配はできません。また、スペシャルティコーヒーとして採用されているのは、ほぼアラビカ種が多く、アラビカ種は品種改良が施され、次々と新しい品種が誕生しています。

なぜアラビカ種だけが無数の品種があるのか?

  1. 1カネフォラ種(ロブスタ)より品種が固定しやすい

アラビカ種

自家受粉、他家受粉の両方が可能
(同種、異種でも受粉が可能)

カネフォラ種

他家受粉のみ

アラビカ種とカネフォラ種の違いのひとつに、交配方法があります。アラビカ種は、一本の木だけで繁殖することができます。そのため、同種同士を交配させることで同じ品種の繁殖することができます。一方、カネフォラ種は、自家受粉が出来ないため、複数本の木が必要になります。異なる木と交配や接ぎ木させることで繁殖させるため、厳密には一本一本、異なり、大まかな区分しかできないということになります。

  1. 2アラビカ種の方が、味がよい

これが最も重要な要素となります。アラビカ種の方が圧倒的に、風味で好まれる傾向があります。

アラビカ種

品種 特徴
ゲイシャ 高地での栽培することによって、極めて特徴的なクオリティをもつゲイシャ。エチオピア在来種。パナマのエスメラルダ農園が、高地で栽培したものをオークションに出品し、当時のインターネットオークション最高値を付けたことで話題に。花にも例えられる独特のフレーバーは、他のコーヒーと一線を画します。
パカマラ エルサルバドルで作られ、今では中米で一般的な品種。さび病にとても影響されやすいですが、果実は大きく、樹高も低いため、収穫しやすい品種。パカスとマラゴジッペの人工交配種。
イエロー
パカマラ
パカマラの中でも、黄色の実がなるものは、「イエローパカマラ」と呼ばれています。
ルビー ブラジルで多く栽培され、収穫量が多く、病害にも耐性のあるムンドノーボと同じくブラジルに普及している樹高が低く収穫しやすいカトゥアイを交配させた品種。
その見た目から宝石のルビーに例えて名づけられ、同様に品種でオレンジがかった黄色に完熟するものはトパーズと呼ばれています。
ブルボン 世界で最も栽培されているアラビカ種の品種のひとつ。高地での栽培することで素晴らしいカップクオリティになると言われています。
オレンジ
ブルボン
ブルボン種が突然変異した、オレンジ色に完熟した実をつける品種。
ティピカ 世界のアラビカ種の中でも遺伝的にも栽培的にも重要な品種。樹高が高く、収穫量は多くない。また、さび病には弱いも、低温に耐性のあることが特徴。
カトゥーラ 樹高が低く収穫量が多い中央アメリカで一般的な品種。ブルボン種の突然変異として、ブラジルで発見されました。
カトゥアイ 樹高が低く収穫量が多い中央アメリカで一般的な品種。ブラジルで生まれた、ムンドノーヴォとカトゥーラの人工交配種。

精選方法

収穫したコーヒーチェリーから果肉や皮などを取り除き、コーヒー生豆にする工程を精選と呼びます。スペシャルティコーヒーにおいても、精選工程はとても重要な要素であり、品質や味を左右します。

主な精選工程

ナチュラル

コーヒーチェリーを果肉除去せず、そのまま乾燥させ、その後果肉、パーチメントを一度に除去します。果肉をつけたまま、乾燥させることでコーヒー豆に風味を移すことが特徴です。ただ、水分を多く含む果肉をつけたまま乾燥させることは、時間がかかります。

ウォッシュド

コーヒーチェリーの果肉を剥いた後、パーチメントコーヒーに付着するぬめり(ミューシレージ)を除去。ミューシレージを除去する際、発酵槽に付ける方法や機械を使用する方法などがあります。また、名称もフーリーウォッシュド、メカニカルウォッシュドなど、国や地域によって様々あり、統一の基準は特にありません。

パルプドナチュラル

コーヒーチェリーの果肉を剥いた後、パーチメントコーヒーに付着するぬめり(ミューシレージ)を残したまま、乾燥工程に進みます。ミューシレージをつけたまま乾燥させることで、甘みなどの風味をコーヒー豆に持たせます。ミューシレージは、乾燥が進むにつれ、ベトベトとくっつくため乾燥の際、細心の注意と手間がかかります。ブラジルで開発されたこの製法は、中南米をはじめ広くの生産地で活用されるようになり、コスタリカでは、「ハニープロセス」と呼ばれています。

乾燥

天日乾燥(サンドライ)

直射日光に当て、乾燥を進めます。ムラなく乾燥させるために、広げる厚みを均一に何度も撹拌する必要があります。ムラがある等、十分な乾燥が出来ていない場合、発酵などよる異臭リスクが増加します。

機械乾燥(マシンドライ)

撹拌しながら、熱風を当て、乾燥を進めます。ムラなく短時間で乾燥しやすいも、当てる熱風の温度管理が品質に影響するため、注意が必要です。

パティオ

天日乾燥の際、チェリーやパーチメントコーヒーを広げる場所。均一に乾燥させるためにある程度の面積が必要です。ごく一部の農園では、乾燥スピードをゆっくりさせるため、直射日光が当たらないよう屋根をつける場合もあります。

アフリカンベッド

天日乾燥の際、チェリーやパーチメントコーヒーを広げる高床の網棚。網状なので、下からも風が入るなど、ムラなく乾燥させることができます。また、乾燥スピードをゆっくりさせるため、直射日光が当たらないよう屋根をつける場合や、二段式アフリカンベッドを使用する場合もあります。

その他

ダブルフリーウォッシュド

雑味を減らし、クリーンな味、シャープな酸を持つコーヒーにするために、コーヒーチェリーの果肉を剥き、発酵槽でミューシレージを除去したあと、もう一度水槽に1日~2日漬ける製法です。

ハニープロセス(ハニー仕立て)

コーヒーチェリーの果肉を剥き、除去するミューシレージの量を調節し、また長時間かけて乾燥させる製法です。コスタリカで生まれた製法であり、その程度の差や見た目からイエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーなど分けて呼ばれるが、明確な基準がなく、生産者によって異なるようです。