豆知識コーヒーの基礎知識

コーヒーとは

コーヒーはアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物であり、主に赤道をはさむ南北約25度のコーヒーベルトと呼ばれる地帯で栽培されています。

コフィア属には数多くの品種があります。コーヒー飲用としては最も生産量が多いアラビカ種とそ れに次ぐ生産量のカネフォラ種が主な品種です。

世界地図

*赤道をはさむ南北約25度をコーヒーベルトといいます。

コーヒーの栽培地としては弱酸性が望ましく、さらに表土の深さ、耕しやすさ、水はけの良さ、肥沃さなどが求められます。栽培の仕方に関しては、木と木の間隔、コーヒーの木に強い日差しを守る役割を果たすシェードツリーの有無、灌漑設備の有無などに気象条件、あるいは栽培種に起因した産地毎の違いが見られます。

日中の年間平均気温がアラビカ種の場合で18〜22℃程度、カネフォラ種の場合で22〜28℃程度が最適といわれています。

コーヒーの木はそのまま栽培すると5〜10mまで成長しますが、農園ではコーヒー(実)の収穫作業に不便なので、2m程度に維持するように栽培(剪定)されています。

コーヒーの木は、ジャスミンのような香りのする白い花を咲かせます。開花後につく楕円形の果実は、緑色から赤色、(品種によっては黄色)黒紫色へと変化します。熟した果実はサクランボに似ていることから、コーヒーチェリーと呼ばれています。果実の部分が少ないため、食用フルーツとしての魅力には乏しいものです。

この果実の中の種子がいわゆるコーヒー豆(生豆)です。

コーヒー生産国

なぜ、こんなにもたくさんのコーヒーの味わいがあるのでしょうか?それは、同じ原種(品種)のコーヒーであっても産地の環境によって、味や風味が異なるからです。

世界地図

*コーヒーの主な生産地

インドネシア共和国

東南アジア南部の国で、赤道の南北に広がる約13,600を数える群島国家。インドネシア全体から見るといわゆる零細な小規模農園が全農園数の約95%で、残りの数%の大規模農園は民営と国営が同数を占めます。アラビカ種は標高1,000m以上の高地で栽培され、全生産量の10%、残りはロブスタ種で日本はインドネシア・ロブの最大の輸入国となっています。

エチオピア連邦民主共和国

国土面積約110万平方km(日本の約2.9倍)で、コーヒーの産地は北西から西南部にかけてのアビシニア高原、東部のハラー高原に大別されます。アビシニアにあるコーヒー発祥地カファ地方の内陸的気候と東部のハラー地方とでは雨量や風、土壌などが異なります。コーヒー発祥の地とも言われ、エチオピアでのコーヒーは社会的、文化的に重要なセレモニー(儀式)に提供される飲み物の一つとされています。

エルサルバドル共和国

中米中央部の共和国で、北と東はホンジュラス、西はグアテマラ、南は太平洋に面しています。中米の最小国ですが、人口は約670万人と人口密度の高い国です。気候は高温多湿、海岸地方は一様に暑く、中央高原と産地は快適な気候となっています。また、火山地帯にあるため、地震に見舞われることも少なくありません。エルサルバドルは農業が国の経済の基盤をなしており、中でもコーヒーは国の主要農産物となっています。

グアテマラ共和国

世界文化遺産にも登録されているティカルやキリグアなど、マヤの大遺跡で知られるグアテマラ。中米の北西部にあり、カリブ海と太平洋に面する共和国。国土の70%が高原で、火山と地震帯が多く、高地の温暖な気候から海岸地帯の熱帯性気候まで変化に富みます。

コスタリカ共和国

コスタリカは中米南部に位置し、北はニカラグア、南はパナマに接しており、南は太平洋に、北はカリブ海に面しています。19世紀以降のコーヒーなどの輸出を背景に経済成長が続きました。また、「環境保護先進国」として名高く、国立公園・自然保護区の総面積は全国土の4分の1を超えるといわれています。

コロンビア共和国

国土面積約113万平方km(日本の約3倍)で、南米大陸北端の共和国。基本的には熱帯性の気候ですが、気候はアンデス山脈の高度によって変わり、熱帯、亜熱帯、温帯、寒帯と変化します。コーヒーの産出量はブラジルに次いで多く、ストレートとしてもブレンドの一要素としても人気があります。

ジャマイカ

中央アメリカ、カリブ海の大アンティル諸島にある島国で、1年中花が咲き乱れ鳥や蝶が舞う美しい国です。国土を東西に走る山脈群の主峰がブルーマウンテン山(標高2256m)です。特定銘柄としてよく知られているブルーマウンテンは、ジャマイカ・ブルーマウンテン地区で生産されたアラビカコーヒー豆をいいます。

ブラジル連邦共和国

南米大陸の北東部に位置し、南米大陸で最大の面積を誇るブラジル連邦共和国。熱帯、亜熱帯、温帯にまでおよぶ広大な国土を有しています。1800年初頭からコーヒーの栽培がすすめられ、「コーヒー大陸」の名にふさわしく、世界第1のコーヒー生産・輸出国となっています。

ペルー共和国

南米大陸の西海岸沿いの中央部に位置し、エクアドル、コロンビア、ブラジル、チリと国境を接しています。ペルーの国土は3つの地形に分けられ、太平洋側の沿岸地帯コスタ、アンデス山脈の山岳地帯シエラ、アマゾンの密林地帯セルバとなります。気候としては基本的には熱帯ですが、標高の差や南北の差によって各地域で大きな違いがあります。アンデス山脈の雪解け水や熱帯地方の豊富な雨量、寒暖の差の大きな気候と、良質なコーヒーを栽培するには最適な条件が整っています。

ホンジュラス共和国

中米地峡の中央部に位置し、北はカリブ海、南は太平洋に面しています。また、西はグアテマラ、南西はエルサルバドル、南東はニカラグアに接しています。基本的に熱帯気候であり、カリブ海岸低地は高温多湿の気候であるものの、国土の60%以上が山岳地帯、標高1,000〜1,500mの高原地域では常春に近い気候になります。

メキシコ合衆国

マヤ・アステカ文明で知られるメキシコは、北はアメリカ合衆国、南はグアテマラに接し、西は大西洋、東はカリブ海に面しています。北部は乾燥地帯、南部は高温多湿ですが、高原地帯は温帯に近い気候です。コーヒーの栽培は、グアテマラに近い南部に集中しています。産業の全てにおいてアメリカ合衆国との関係が強く、コーヒーも大半がアメリカ合衆国に輸出されています。

コーヒーの歴史

コーヒーは“いつ、だれが、どうやって”発見したのでしょう。これはコーヒーという飲み物が生まれる以前の「コーヒーの実」の話。いろいろな説がありますが、代表的な2つをご紹介します。

コーヒーの発見伝説1・アラビア説

イスラムの僧・オマールの発見

13世紀のイエメンでのこと。伝説は、イスラムの僧・オマールが、領主によって町を追われたことに始まります。山に追放されたオマールは、一羽の鳥が赤い木の実をついばんでいるのを目にしました。食物もなく飢えていた彼は、迷わずその赤い実を口にします。すると不思議なことに飢えと疲労が消え、気分が爽快になったそうです。

一方、オマールを追い出した町では、病気が猛威をふるっていました。以前オマールの祈祷によって助けられたことを思い出した人々は、すがるように山に入り、助けを求めます。町の惨状を深く悲しんだオマールは、祈りを捧げるとともに、不思議な力を与えてくれた赤い実の煮汁を皆に与えました。そして人々の命と町を救ったのです。この町とは、のちにコーヒー豆の積み出し港となり、豆の名前としても有名な「モカ」の町。コーヒーの発祥地ともいわれています。オマールは、この地名をとって「モカの守護聖人」と呼ばれるようになりました。

コーヒーの発見伝説2・エチオピア説

ヤギ飼いカルディのコーヒー発見

アラビカ半島とアフリカ大陸が出合うあたりでの物語です。ある日のこと、ヤギ飼いの少年・カルディは、放し飼いにしていたヤギたちが、夜になっても元気に跳び回っているのに気付きました。

「なぜだろう?」と観察していたところ、ヤギが赤い木の実を食べているではありませんか。さっそく赤い実を口にするカルディ。すると驚いたことに全身から活力がわいてきたのです。彼は、修道士のもとにかけつけ、この奇跡を告げました。「修道士さま、これは奇跡の実です!ヤギと、このぼくに奇跡が起きました!」話を聞いて修道士は考えます。

「その実があれば、夜の長い祈りを襲う睡魔にも打ち勝つことができるに違いない。」そうして赤い実は、修道士たちの間で、睡魔に打ち勝つ“秘薬”として広まったそうです。

「赤い木の実」とは何か、もうお話しするまでもありませんね。その後も長い間イスラム寺院では、僧たちの修行に秘薬として使われたといわれています。

実際にはコーヒーは、以上の2つの発見伝説よりももっと古い時代に、文献に登場しています。文献には「コーヒー」という名称ではなく、「ブン(バン)」または「バンカム」という名称で記述されていました。

コーヒーに関する最初の文献は、古代ヨーロッパのペルシャで名医と言われたラーゼスが、コーヒーを薬として取り上げ、「エチオピアやイエメンに自生するブン(またはバンと呼ばれた)と、その煮汁バンカムは刺激的でさっぱりした味を持ち、胃に非常によい」と記述しています。最初に発見されてから、幾世紀もの間コーヒーは食べるものであり、飲むものではありませんでした。コーヒーが飲み物になったのは、14世紀にアラビア半島にあるイエメンからで、15世紀あたりからアラブ世界に広まったといわれています。コーヒーは煎り豆の飲料になってから、「カーファ」と呼ばれるようになったと言われています。