豆知識品種

コーヒーはアカネ科コフィア属に属する熱帯植物。現在世界中の人々に愛されるコーヒーは、その嗜好や市場の変化に伴い、品種は様々なバリエーションに富んだ進化を遂げています。トレーサビリティが特徴の一つであるスペシャルティコーヒー。品種の違いを感じることも楽しみ方のひとつではないでしょうか。

アラビカ種とカネフォラ種(ロブスタ)

コーヒー市場において、広く知られているコーヒー品種の大区分。一般的に、味わいが良いとされているアラビカ種、栽培が容易で価格が低いとされるカネフォラ種。基本、アラビカ種とカネフォラ種との交配はできません。また、スペシャルティコーヒーとして採用されているのは、ほぼアラビカ種が多く、アラビカ種は品種改良が施され、次々と新しい品種が誕生しています。

なぜアラビカ種だけが無数の品種があるのか?

  1. 1カネフォラ種(ロブスタ)より品種が固定しやすい

アラビカ種

自家受粉、他家受粉の両方が可能
(同種、異種でも受粉が可能)

カネフォラ種

他家受粉のみ

アラビカ種とカネフォラ種の違いのひとつに、交配方法があります。アラビカ種は、一本の木だけで繁殖することができます。そのため、同種同士を交配させることで同じ品種の繁殖することができます。一方、カネフォラ種は、自家受粉が出来ないため、複数本の木が必要になります。異なる木と交配や接ぎ木させることで繁殖させるため、厳密には一本一本、異なり、大まかな区分しかできないということになります。

  1. 2アラビカ種の方が、味がよい

これが最も重要な要素となります。アラビカ種の方が圧倒的に、風味で好まれる傾向があります。

アラビカ種

品種 特徴
ゲイシャ 高地で栽培することによって、極めて特徴的なクオリティをもつゲイシャ。エチオピア在来種。パナマのエスメラルダ農園が、高地で栽培したものをオークションに出品し、当時のインターネットオークション最高値を付けたことで話題に。花にも例えられる独特のフレーバーは、他のコーヒーと一線を画します。
パカマラ エルサルバドルの研究所でパカスとマラゴジッペを人工的に交配させて生まれた品種。パカスの矮小性とマラゴジッペの巨大な豆のサイズ、風味の良さを受け継いでいますが、一方で収量が悪く、病気に弱いといった短所を引き継いでいます。
イエロー
パカマラ
パカマラの中でも、黄色の実がなるものは、「イエローパカマラ」と呼ばれています。
ルビー ブラジルで多く栽培され、収穫量が多く、病害にも耐性のあるムンドノーボと同じくブラジルに普及している樹高が低く収穫しやすいカトゥアイを交配させた品種。
その見た目から宝石のルビーに例えて名づけられ、同様に品種でオレンジがかった黄色に完熟するものはトパーズと呼ばれています。
ブルボン 世界で最も栽培されているアラビカ種の品種のひとつ。高地での栽培することで素晴らしいカップクオリティになると言われています。
オレンジ
ブルボン
ブルボン種が突然変異した、オレンジ色に完熟した実をつける品種。
ティピカ 世界のアラビカ種の中でも遺伝的にも栽培的にも重要な品種。樹高が高く、収穫量は多くない。また、さび病には弱いも、低温に耐性のあることが特徴。
カトゥーラ 樹高が低く収穫量が多い中央アメリカで一般的な品種。ブルボン種の突然変異として、ブラジルで発見されました。
カトゥアイ 樹高が低く収穫量が多い中央アメリカで一般的な品種。ブラジルで生まれた、ムンドノーヴォとカトゥーラの人工交配種。
ラウリーナ 別名ブルボンポワント。レユニオン諸島が起源とされる非常に珍しいコーヒーの品種。独特の複雑なフレーバーを有しており、自然の状態で通常の品種よりもカフェインの含有量が低いという特徴がある。
トパーシオ ブラジルに広く普及しているムンドノーボとカトゥアイの交配種。実のが黄色く熟すため、黄玉に例えられてトパーシオ(トパーズ)と呼ばれています。熟した果実のような風味とクリーンカップの調和がとれた良質なコーヒーです。
エチオピア在来種 コーヒー発祥の地、エチオピアでは古来より自生する品種が数多く存在しています。それらを総称して「エチオピア在来種」という名称で呼んでいます。
マラゴジッペ マラゴジッペはティピカの突然変異により生まれた品種と言われ、他の品種と比べて樹高が高く葉も巨大で、コーヒーの実も大きいのが特徴です。 その分栽培が難しく生産性が低いため、希少な品種として扱われています。特有の風味があり、珍重されている品種です。
ビジャサルチ ビジャサルチはコスタリカで1950年代から1960年代にかけて発見された品種。標高の高い土地での栽培に順応し、強風に耐えられる性質を持っています。
SL28 ケニアの研究所で開発されたコーヒー品種。ブルボン種の改良種で、乾燥に強く、素晴らしい風味特性を持っています。
アララ種 イエローカトゥアイとオバタンの交配種です。この品種は非常に強く大きく育ち、さび病に耐性が強い大きな実がなります。

ハイブリッド種

スペシャルティコーヒーとして採用されているのは、ほぼアラビカ種が多いのですが、近年はアラビカ種をカネフォラ種などと人工的に交配をすることで(ハイブリッド化)、品種改良する動きが活発化しており、いくつもの栽培品種が創り出され、スペシャルティコーヒーとしても採用されています。

ハイブリッド種

品種 特徴
アラモサ アラモサはアラビカ種とラセモサ種の間で出来た交配種。
Ruiru 11 ケニアの研究所で開発された品種。カティモールとSL28系の交配種を交配させ、SL28を交配させたもの。ハイブリッド種が持つ特徴を受け継ぎ、矮性で、収量が良く、病気への耐性を持っています。
ティムティム(TimTim) インドネシアの固有種でカティモール系の品種。ティムティムとは、ティモール・ティムール(TimorTimur)の略称のこと。多くの生産者がティムティムと呼びます。

ピーベリーとは?

コーヒーの果実の中には、半月の形をした種子(コーヒー豆になる部分)が2つ、向かいあうように入っていることが多く、これをフラットビーン(平豆)といいますが、中には2つの種子のうち、1つの種子だけが果実の中いっぱいに育ってしまうものがあります。それらはピーベリー(丸豆)と呼ばれ、全体の5%〜20%しか収穫されないとても珍しい豆で、その希少性から、普通の豆とは区別して売られていることもあります。